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一級建築士事務所  江口希之建築都市研究所


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住まい手からの要請を受け、住宅に生じた不具合の原因を探る「GENBA検証隊」。
今回はこの「GENBA検証隊」の活動を見ながら、欠陥住宅の見分け方を勉強していきましょう。



 今回の依頼主K邸は木造枠組壁式工法の2階建てで、分譲住宅として販売されたもの。相談の内容(不具合と発生時期)は、
◎入居時の点検の時に、壁クロスのはがれや浮きが見つかり補修し、3ヵ月後、再びクロスがはがれ、床のきしみもきになるようになる。
◎1ヵ月後、天井の仕上げとまわり縁の間にすき間、キッチン脇の壁のタイルにひびが生じているのを発見する。
◎また、1ヵ月後、玄関ドアが枠に当たり閉まりにくくなったため、調整する。
というものでした。
 

 こうした不具合の一般的な原因として考えられる可能性としては、
@そもそもの施工精度や接着状態が悪かった(施工不良)
A構造部材や下地材に乾燥した材を用いていなかった、あるいは施工途中で濡れてしまい、完成後に乾燥収縮が生じた。仕上げ材が変形に追随できずにひびわれなどが生じた。(初期不具合)
B地盤が軟弱だったり、支持力に応じた正しい基礎構造が採用されていなかったりしたことで、不同沈下が起き、建物全体が動いた。
などが挙げられます。

 K邸の立地は西側に擁壁があり、隣地とは3m以上のレベル差がり、一見して、人工的に構成された地盤であることがわかります。

K邸はベタ基礎を採用していますが、基礎がどんな形式であっても、盛り土地盤を十分に締め固めていなければ、沈下を起こす可能性があり、地盤によっては不同沈下で、建物が傾くことになります。よって、不具合は、建物全体が動いてしまったことに原因があると考えられます。
 
建物全体の傾きを検証するために、レベル測定器を使って、基礎天端の高さ 建物周囲4点で測定します。すると、やはり東に比べて西側(擁壁側)が、約20mm下がっていました。
測定器を室内に持ち込み、1階リビング床レベルも測ってみたところ 、ここでも西側のほうが20mmほど下がっていました。よって、不具合は、仕上げ材の施工精度による差ではなく、建物全体が傾いている可能性が高いと思われます。

 K邸が建つ敷地の地盤を調査します。南東側では、ロットを地面に突き立て荷重をかけると、深さ1m以内で硬い地層に達しました。ところが南西側では、深さ2m以上にわたり、荷重をかけただけで、するすると自沈していく層が出てきました。明らかに東側とは地盤の性質が異なっているという印象を受けます。



 上の結果から、東側では 地表近くに非常に硬い地盤があるのに比べて、西側の地盤は柔らかいと言えます。

 内装に生じた不具合は、部位によっては 施工不良や初期不具合が原因であることも考えられます。ただ、敷地の東西で地盤の硬さにこれだけの差があると、不同沈下を起こしている可能性が高いのです。レベルの違いもそれを裏付けています。建物全体の動きが、クロスのひびやしわ、床のきしみや傾きの原因になったと思われます。


 「地盤の支持力にバラツキがあることが問題だ。」と調査員は指摘しています。

 たとえ軟弱な地盤でも 敷地全体が同程度の軟らかさになっていれば、まっすぐ下に沈み不同沈下は起きません。ある程度、圧密沈下した後に止まれば、さほど大きな不具合は生じにくいのです。

ところがK邸のように、敷地内で地盤の固さに差があると、比較的よい地盤でもトラブルを招きやすいのです。軟らかいほうは沈みますが、硬いほうは沈まないので、不同沈下が起き、建物に傾きが生じてしまう。よって、数値自体よりも2点間の差が重要なのです。
 
西側の地盤が東側に比べて軟らかかった原因として、擁壁をつくった後に埋め戻した盛り土地盤であることが考えられます。
盛り土地盤は厚さ0.5mで 2階建ての木造住宅に匹敵する重さがあり、さらにその上に建物の重量が載る。
締め固めが十分でないと沈下する恐れがあるのです



●注意を要する宅地●
@盛り土 自然の地盤に比べるとバラツキがあり、盛り土自体の重量が沈下を促進する。
A擁壁ぎわ 軟弱地盤の地層が傾斜していると考える。土は斜めに動くから特に必要。
B台地と谷地の境目 自然地盤が傾斜している。
C造成地 盛り土や擁壁がからむ。元が水田などの場合、造成地全体が数メートル沈むことも。


□基礎を設計するときにはまず地盤調査を行い、強度に応じた基礎の形式を選択する。
□地盤調査の郷土に関するデータだけを見るのではなく、敷地内でバラツキがないかどうかもチェックする。
□地盤が軟弱だったときはもちろん、全体としては比較的、良好な地盤であっても、敷地内で差が あった場合は、杭基礎
  を採用したり、地盤改良を施すなどして、沈下が起きないような対策をとる 。
□地盤が原因で不同沈下が起き住宅が傾いてしまった場合、瑕疵と判断され住宅会社の責任となる可能性が高い。建
  設後の改良や補修には多大な手間とコストがかかる。

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